点て方を考える
流派ごとに点て方が違う
茶の湯には沢山の流派がございますが、点て方も大きく異なります。裏千家では、キメ細やかな泡を全体に点てますし、表千家では泡は少なく月のような情景が出るように点てるともいいます。このように見た目が違えば味にも影響が出てきます。流派に属さない方が家で点てる際には色々と試行錯誤してみて味の違いを研究してみるのも面白いのではないでしょうか。
点て方の工夫
お抹茶を美味しくいただく、もしくは差し上げる際に気になる点は「美味しく点てられただろうか?」ということかと思います。お抹茶の点て方の工夫についても考えたいと思います。
抹茶の銘柄
味に影響する要素として、初めに思われるのは抹茶の銘柄かと思います。価格の差がある分、当然に味は変ります。抹茶の分量でも大きく変わります。薄茶用の抹茶と濃茶用の抹茶があり、特に濃茶用は高価ですが苦みが少なく薄茶で使っても美味しいです。
使用する道具
使う道具によっても味は変わります。茶碗の吸水性や形状、肌触り、土の性質。楽や萩のような柔らかな茶碗はお湯や茶の馴染みが良いような気がします。反対に備前や信楽などの硬くザラザラした性質の物などはまた味が違うでしょう。色々な産地のお茶碗を所有されている方は飲み比べてみるのも楽しいかもしれません。
季節と気象の変化
次に季節による温度や湿度。冬季ではお湯の温度は茶筌を振るうちに冷めるので高めにしておくと良いかもしれません。夏季では熱いお湯は冷めにくいので、茶筌を多めに振ったりして温度を調整しても良いかもしれません。また、冷茶を楽しんだりもします。湿気が多い日は抹茶が湿気て、泡を細かく点てるのが難しい時もあります。
手首の点て方を変える
茶筌の振り方、速さや角度などでも味の変化があるような気がします。手首のスナップを生かし振るうのと腕ごと振るうのとを変えてみたり。茶碗に茶筌の先を添わせたり、浮かせてみたり。茶筌は竹の硬さや撓り具合は物によって異なるのでご自身が扱い易い茶筌なら点て易いでしょう。
最後に
かの、北大路魯山人の名言で“納豆はかき混ぜるほどにうまくなる”というのがあるが、抹茶の点て方にも遠からず通じる物があるかもしれません。抹茶の場合は時間が経てばお湯が冷めたりするので、時間をかけてより多く茶筌を振ればよいという訳ではないですが、日々鍛錬して精魂込めて点てると美味しく感じられたり、美味しいと言ってもらえる機会も多くなるでしょう。